住宅における内部結露の問題点

住宅における内部結露の問題点

冬の寒い日の朝、左の写真のようにガラスの表面に水滴がついているのを見たという経験はありますか。

これは結露という現象です。
この結露が「壁の中」で起こる事を、内部結露とか壁体内結露と呼びます。
結露とは、どうゆう仕組みで発生するのか?
なぜ結露が壁の中で起こると問題なのか?

■空気中の水分(水蒸気)が冷やされると飽和状態となり結露となります。
例えば暑い夏にガラスコップに冷たいジュースを入れるとグラスの表面に水滴が付きますよね、これが結露という現象です。グラスの周りの空気が冷やされて水滴が発生したのです。
寒い日の窓ガラスに、部屋側へ水滴がついているのも同じです。拭いても拭いても次の日には又、ガラス面が水滴で濡れていますね。冬の寒い間はこの結露という現象が毎日毎日、毎年毎年繰り返されているわけです。

ではその原因となる水蒸気はどこから来るのでしょうか。
①日本は海で囲まれた島です、地球温暖化によって高温多湿がより進んでいます。梅雨時期は家の中まで湿気を感じますね。つまりどこにでも湿気(水蒸気)は存在します。家の中も外も山も海も自然に水蒸気は存在しています。
②そしてもう一つは毎日の生活によって発生する人工的な水蒸気です。ご飯を炊いたりお茶を沸かしたりお風呂に入ったり、呼吸によっても水蒸気が発生します。

そしてこの水蒸気によって住宅の「壁の中」で結露が起こった場合、これを内部結露といいます。
この内部結露が住宅にとっては良くない現象となるのです。

水蒸気は温度の高い所から低い所へ移動するという特性をもっています、暖かい水分を抱えた空気は寒い所へ移動をし続けます。ほんの少しの隙間さえあれば食べかけのおせんべいの袋の中や本棚の背中側や、そして家の壁の中へ侵入していきます。そこで冷やされると湿気(結露)が発生します。

もう少し詳しく説明しますと、空気中の水蒸気が移動する原因として「対流」と「拡散」の2つがあります。対流とは先ほど述べました温度差による移動の事です。
もう1つの「拡散」は水蒸気の気圧の高い所から低い所へ湿気が空気と共に移動する現象です。この現象は建物の様々な場所で発生しています。単に室内だけでなく密閉された外壁の壁内でも小屋裏空間内や床下でも発生しています。

よく誤解される点として、住宅の断熱材を分厚くすれば結露が起こらないという事は関連性が直接はないという事です。先ほど説明しましたが水蒸気は気温の高い所から低い所へ気圧の高い所から低いところへ移動します、これは家の中もおせんべいの袋の中でも、そして断熱材のある壁の中でも同じ原理となります。

ではなぜ壁の中で結露が発生すると良くないのでしょうか?

「腐朽菌」の存在です。この木を腐らせてしまう腐朽菌が繁殖するための要件が4つあります。
①温度 ②酸素 ③栄養分(木材など)そして ④水分
この④が非常に問題となります。①~③は木造住宅であれば全ての住宅に当てはめる事ができます。
しかし、この④に関しては、もともと家が完成した時には無かったものです。内部結露や工事の不具合、雨漏りや台風で吹きぶったり、など何らかの作用によって水分が壁の中に生じてしまう事を考えないといけません。
ここで重要な事は、1度完成した住宅の壁の中の様子は確認することは、ほとんどないと云う事です。

フェイルセーフという考え方

不具合が将来起こった場合を想定して家づくりを考える。
万一壁内結露が起こった場合でも大丈夫な構造にしておく事が大切です。

■フェイルセーフという言葉があります。飛行機や電車などに使われる言葉です。機械の故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することをあらかじめ想定し、起きた場合の被害を最小限にとどめるような工夫を設計上しておくという設計思想をいいます。

わたし達は住宅づくりにおいてもこの「このフェイルセーフ」という考えは必要だと思っています。何故なのか?住宅が完成した時点で風化が始まり、雨、風、地震、湿度、紫外線、シロアリ、など自然現象の中で暮らしていく事になるからです。

住宅において何か不具合が生じた場合、出来るだけ被害を抑えた家づくりが必要であると考えています。

住宅づくりにとって優先順位を考えた場合1番大切な事は何でしょうか?

家づくりで優先順位を選ぶとすれば1番最初にくる大事な項目は何か、と聞かれると駐車場2台で4LDKそれと、家事動線を重要視したいと教えてくれます。
 
■みんなが「喜ぶ家」それだけで本当にいいのでしょうか?
自分が欲しい家を買う! 確かに重要な事です。
「デザインがお洒落で、耐震性の高い家、省エネルギー住宅でカントリー住宅風の家づくりがいい。あと窓が大きくて、明るいリビングのある家がいい」

どれも重要な項目です!でも1番ではありません。
1番は、「耐久性」です。
ピンと来ないかも知れません、でもこの項目が1番にきます。

順を追って説明します。

建築基準法や住宅性能評価の基準、耐震等級などの制度は重要で大切な事項です。でもこの基準を満たした住宅はいつまで耐震等級が持続するのでしょうか?
答えは、「家が建った瞬間」です。
つまりその後は耐震性能は住んでる間に低下していくものだという認識はほとんどの方は持っていないと思います。そして住宅会社でその様な説明を今まで受けたこともなかったはずです。こんな大切な事を知らされていなかったのです。

日進月歩で世界でも有数のテクノロジーと高い技術を誇る日本です。テレビやパソコン、スマートホン、自動車、通信技術など幅広い分野で世界と渡り合っています。
そうなれば住宅に関しても日々進化していくものと考えられているでしょう。はたしてそうでしょうか?確かにキッチンやユニットバス、などのメーカーの設備機器は進歩しています。
しかし家本体のつくりは、どうでしょうか?

「100年以上の田舎立ちの民家の家」と「現代の家」、決定的な違いは住宅の構造にあります。現代の住宅は構造躯体が長持ちするようには、作られていないのです。コスト優先になってしまい、家をつくる側の理論で大量生産が行われてきました。構造材に輸入材を使用するのもその1つです。
例えばホワイトウッド、スプルース材などは北欧で育った木を加工して日本へ輸入されます。育った環境は寒冷地です、害虫の被害もほとんどない地域です。それを高温多湿でジメジメした亜熱帯に近い日本で使用するとどうなるでしょうか。
また、輸入材はコストの関係で高温乾燥が行われます。高温乾燥すると本来木材自身が持っている、木材を守ってくれる成分まで減少させてしまいます。その分、価格の安い、軽くて施工しやすい作り手の都合の材料で家を建てる事となります。
はたしてこれが、進化と呼べるでしょうか?


耐震性能を知るにはまず耐久性能が重要であるという事を知って下さい。

木材の天敵、シロアリの分布が北上を続けています

■国土交通省が設置した長期優良住宅の検証委員会がシロアリの生息域が北側へ広がっている事を発表しました。

ヤマトシロアリの生息できる環境は、1月の平均気温が-4度を下回らない場所とされています。日本地図で当てはめると沖縄~北海道の旭川まで範囲となります、もう少しで最北端の場所です。イエシロアリも条件に当てはめると同じく沖縄~東北地方まで生息域に入ってきます。
地球温暖化でますますシロアリの生息域が広がっていきます。

右の写真は、同じ条件下で実験した木材の柱です。手前にあるのが輸入した集成材です。その奥にある柱が当社が使用している加圧注入柱です。被害の違いが分かります。一般木材の10倍以上の耐久性があります。
(独立行政法人森林総合研究所の野外実験で、約100年間シロアリの被害や木部の腐れがない事が試験結果で出ています。)

シロアリは住まいの害虫として扱われますが、地球環境の維持という視点で考えると大きな役割を果たしています。熱帯雨林地方などでは大木が倒れていたり大量の枯れ葉や枯れ木などをシロアリの活躍によって土に戻し、生態系や環境を維持しています。
シロアリは、ありと名前がついているので蟻の仲間と思われがちですが進化の過程でいうと全く違う種類の生き物です。端的にいうとアリはハチの仲間でシロアリはゴキブリの仲間となります。

実際に壁の中で同様の現象が起こった場合どうでしょうか。いくら金物で頑丈に止めていても地震が来ればその金物は何の役目も果たせません。
デザイン住宅で高価な設備を採用しても肝心な家の構造部分に心配があっては意味がありません。わたし達は住宅づくりにおいてまず「耐久性」を確保して、その次にやっと耐震性やデザイン、設備などが優先順位がやってくると考えます。













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